《第66回 山口県交響楽団定期演奏会へ向けて》
ピアノ独奏者 尾形大介氏からみなさまへ
この度は山口県交響楽団との共演の機会を頂き、
誠にありがとうございます。
ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番"皇帝"は、彼の創作活動の中でも
円熟期に書かれた傑作の一つで、威風堂々・崇高たる内容は、
正に皇帝の名を冠するに相応しい作品となっています。
ベートーヴェンが生きた時代は動乱期とも言える時期で、
フランス革命に端を発し、ナポレオンがヨーロッパ全土を
ひっくり返した時代でもありました。
共和主義者として知られるベートーヴェンは、
己の音楽で、旧態依然とした社会を変えたいと
願っていたことは想像に難くありません。
コロナ禍以降、私達の社会は大きな苦しみを味わい、
甚大なダメージを受けました。
この辛く困難な時期を乗り越えて、再び舞台の上に立ち、
皆様と音楽を共有出来るのは、音楽家として喜びに堪えません。
歓喜の歌の如く、会場の全ての方と抱擁し合う、
そんな音楽が出来れば、私としては望外の歓びです。
多くの方のご来場をお待ちしております。
最後に、貴重な機会を与えて下さった
山口県交響楽団ならびに関係者の皆様、
指揮者の篠崎先生に心より御礼申し上げます。